「突 く」


あなたが打ち寄せる感じが好きなの。

溺れることもなく

少しずつさらわれていく恋の

するりするりという感じ。


その気になれば

海にも陸にもあがれると

波打ち際の強気の足元は

なんて緩いことか。


どこにも行く気なんかないくせに、と

ぐずぐずした生き方を

笑って笑われて。


遠い空に突き立てる

いけない雲が

私の薄い理を、あっさりと揺らす。

「 砕けて融けて」


破片のようで自由な形。

バラバラになってようやく私は私になれた。

尖った部分も、ゆるやかなラインも

別の何かに見えるところも全部いいでしょう?


どこかに染み入って とけ込んだり

蒸発して空気になって とけ入ったり

やっと何にでもなれる。


あなたは私を失くした気持ち。

だけど私はずっと前からこうだった。

あなたが壊したのは私じゃない私。



「架空ノ空」


あなたが忘れた言葉を

いつまでも支えにしている私のことを

どうか知らないでいてほしい


私の空はこんなに静か


あなたへの想いが何度芽吹いても

「水 源」


風さえ忘れ 歌さえ聴こえない。

自分から何もかも手放した

時のない心は もう何も動かないはずだった。


なのにどうして

どうして芽生えてしまったのだろう。


風に揺れる喜びもいらないし 

歌にやわらぐ幸せもいらないから

芽生えた理由は聞かないで

ひとりでちゃんと枯れるから。

「忘れないで」

 

私はこのまま曲がるけど

あなたはここをまっすぐね。

同じ速さで歩いてくれてありがとう。


私はこのまま流れの先で

きっと何かと混ざるけど

あなたはあなたのままでいて。

きっとそれでうまくいく。


そして忘れないでいて。

どこにも探せないほど今の私が消えてしまっても

私は幸せだってこと。

だってあなたに逢えたのだから。